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「本」が旅する
本が旅をするはなし。

新刊本は出版社から取次という流通業のルートで店頭まで
運ばれてきます。

店の棚からどんどん売れると次々追加をを注文して仕入れます。
(日本の出版物の流通が立ち遅れているために、ドイツなどの
ように翌日到着、などという状況は夢のまた夢)

注文してから1週間前後かかるものがほとんど。
ひとつには出庫するのを週に2回、と決めている大手出版社があったり
受注してから出庫するのにへたするとそこで4,5日かかるという現実。
月曜に注文しているのに”出荷は○日木曜日です”と事務的に言う営業部。
”何とか早く出してください、お客さまがお急ぎです”というと
”・・・それでは明日出荷します”
こういうのはほんの一例です。

そこから巨大な取次の倉庫へ運ばれ・・・そのブラックボックスを
運良く通過したものが1週間ほどで書店店頭へ。
そうでないものは2週間、あるいはもっとかかってやっと届く
ものがあることはお客さまが体験されているとおりです。

翌日配達の宅急便などが全盛の時代になぜ出版物の流通が
対応できないのか?
単価が安くなる一方点数のみが増えている現状。
けれどそんなことを言い訳にしないで¥1,500以上は無料配達、
という業種があって、それはそのために組織的な改革と投資を
しているわけです。
出版業界の低迷は企画編集の実力が問われているのはもちろん
ですが、なんといってもこの物流の立ち遅れが深刻です。



出版社で品切れになっている、そういう古い本を注文いただくことが
ありますが、古本業界などを探してお取り寄せもしています。
先日は1964年刊の新潮文庫を地方の古書店さんから送って
いただきました。
パラフィンカバーはないものの、ほんとうにきれいな状態でおどろきました。

上の写真はやはりオンライン書店から取り寄せたものです。
新刊ルートでは入手できない、ということで探したらすぐにみつかりました。
なぜかちゃんと”新刊”です。
その証拠にスリップも入ったままでした。
しかも2組。
1冊に通常のスリップと、常備品という印のスリップの2枚が入っているの
ですが、それが合計4枚ありました。

それによるといちどは日販帳合の石巻の書店の棚に1年間常備品として
販売されて返品されている。次の年には東販帳合のどこかの書店へ
1年間出荷されてけれどどうやら売れなかったらしい、ということが
スリップの状態から読み取ることが出来ます。

本屋の習慣で、本を手に取るとまず奥付を確認、そしてぱらぱらとなにか
挟まっていないか中を見ます。
今回はなんと2組のスリップが入っていたのには驚きました。
常備品というのは出版社に戻されるはずで、そのために2枚の
スリップは課税の表示が異なります。
出版社が再度あたらしい表示のスリップをはさむ作業をする際に
なぜ古いスリップを取り除かなかったのか?
そして、2回目に並んだ書店でもだれにも手に取られることなく古い
スリップがなかにはさまれたまま最後にこうしてオンライン書店の巨大な
流通倉庫に眠っていた、ということです。

一冊一冊の商品に手をかけることができなくなっている、その実態を
見せられたようにおもいました。

担当者が忙しいから?
もちろん忙しいでしょう。
でもたかが3秒で済むことです。
こうして商品を手に取る、といった基本をどこかに置き忘れた現場は
荒れてゆくのです。

『ぐるっとパノラマ 関東甲信越 超展望の山々』
ほんとうにすばらしい本なので入手困難なのは残念なこと。
著者杉本智彦さんのHPは→こちらです
こちらもまた精密なすばらしい構成になっています。

両方を見比べても、やはり『本』のよさ、というものがわかります。
なんといっても山歩きに持ってゆくには便利だし、見やすくきれいな
ことも明らかに本がすぐれています。

こうして本の魅力を再発見することができました。
あちこちと旅をして、山と地図が大好きなお客さまのもとに届いた
本はきっと幸せです。
よかったね。
author:信愛書店 en=gawa, 13:08
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