| BLOG TOP | 地図& en=gawa 利用案内 スケジュール |  |
検索 | RSS | ATOM |
「冬の太陽とからっ風の恵み」マメに暮らすぜ!第5回
寒中の収穫祭!

この季節にしかできないことがある、のですね。
光と風の恵み、なんてやさしいひびきでしょう。

マメに暮らすぜ!第5回です。

============


「冬の太陽とからっ風の恵み」   蔦谷耕書堂


年が明け、小寒を過ぎ寒中。季節の変化は小さなベランダ農地にも
訪れ、花や実のにぎやかな彩りは姿を消し、大根の葉、蕪の葉、人参の
葉と、緑色のみに変わった。この葉が冬の日を受け、そのエネルギーを
地中に蓄えて、土の中でじわじわ大きくなっている最中だ。
ところで、それは皆秋に撒いたもので、この冬、私はある仕事にかまけ、
ちっともマメに暮らしていなかったのが後ろ暗い。野菜の世話に保存食作り
といった、マメな作業に回す時間がなかったのである。

かき

でも、時間がないときこそ、自分一人で「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と
力むより、自分以外のものに頼ったほうがいい。例えば冷たく乾いた風と、
太陽の力を借りる。冬は、ものを干すのに、非常に適した季節なのだ。
というわけでこの間、当家のベランダでは、いろいろなものが干されていた。
秋に引っこ抜いた唐辛子は、最初枝ごと束ねて干し、カラカラになってから、
今度は実だけにしてざるに並べ、更に干す。大根の皮を干して、切干大根
にする。
そして、今年初めて挑戦したものもあった。近所の農家が、どっさりの
渋柿を「ご自由にお持ちください」と、野菜の無人スタンドに並べていたので、
それを頂いて帰り、干し柿を作ってみようと思ったのである。


    たか

 初めて作るので、とりあえず作り方を調べてみると、以下のような感じだった。

1.むく:むかないと中の水分が出ていかない。つるすため、ヘタはつけたままに。
2.ほす:つるして2〜3週間干す。ほす前にさっと熱湯にくぐらせると、カビ対策に
 なる。
3.もむ:干して、柿の中のほうまでやわらかくなってきたら、もむ。干したまま、
 何度かもんで、まんべんなく柔らかくする。
4.粉つけ:「わらの中にくるんでからまた日に当て、白い粉を吹かせる」といった
 手順を加える場合もあるが、これは省いても良いようだ。ちなみに白い粉は、
 柿の中から出てきた糖分であるブドウ糖の結晶。

へー、ただ干すだけじゃないんだ、もむのは知らなかったなー、と思いつつ、
結局はそのまま2か月干しっぱなしにしてしまった(雨のときはとりこむ、
くらいはしたが)。
そして1月11日、いい加減そろそろ柿の始末をつけなけりゃ、と私は干し柿を
取り込んでみた。柿はカビたりせず、表面に白い粉をふき、それらしい状態に
なっていた。
かじってみたら、ちゃんと干し柿になっている。上品な甘みで、
うまいものであった。

ほす


折しもこの日は鏡開き。ベランダには柿に代わって開いた鏡餅が干された。
からからに干して、カリカリの揚げ餅にするためだ。
干すことによって、生まれる味がある。干すというのも立派な調理法だと
感じた、冬の日であった。
                          (2009.1.11)
author:信愛書店 en=gawa, 11:26
-,
内田由紀子の 豆書林ブログ♯16 製本構造について
内田由紀子の 豆書林ブログも今年最後の♯16となりました。
 本が作られる工程や、わたしたちが当たり前のように手にしている
ハードカヴァーや文庫本がなぜこのようなすがたをしているのか、など
外側からは見えない部分についてていねいに解説をしていただいて
『本』というものにいっそうの愛着が湧いてきたかたもあるとおもいます。

また、『本』をとおして世のなかを見渡してみると、技術や経済の
流れそのものが浮かび上がってくることもわかります。

来年も本の周辺を専門家の目で楽しく語ってくださるので、どうぞ
お楽しみに!

 
豆書林ブログ♯16
 
今回は無線綴じ、と呼ばれる製本構造について少し。
 
本屋さんで売られている本のほとんどは、製本工場で大部分の工程を機械で
製本されたものです。
すべてを手仕事で仕上げる手製本に対して、機械製本と呼ばれます。
ただ製本の工程は複雑で、機械製本といっても微妙な調整など、たくさんの人が
関わる職人仕事で、機械と人との二人三脚のようなものです。
 
昔ヨーロッパで、まだ本がすべて手作りだったころ、本はとっても高価で、
めったに読めないものでした。産業革命を経て、本の製造工程を少しずつ
機械が補うようになってはじめて、庶民に手の届く範囲に本がやってきます。
もちろん機械で本が作られるまでにいろいろな試行錯誤がありました。
革の代わりになるクロスが発明されたり、機械で綴じをできる機械を考えたり、
長い年月がかかります。
(ただし日本ではちょっと様子が違いましたが。和紙という薄くてしなやかな
紙のおかげで、堅牢な製本構造は必要なく、絹糸で端をさっと綴じれば立派に
本になりました。もちろん手ですべてを行うので、今と比べれば値段も高いもの
でしたが、西洋の豪華本とはまた違い、機械がなくとも割合庶民に近い位置に
本があ りました。)
 
1
 
明治時代に入って、外国の文化・技術がおおっぴらにはいってくると、当時
洋製本と呼ばれた、和本ではない形の本と、その作り方もやってきました。
洋紙は和紙と違い、しなやかさにかけるので、今までの和とじでは対応できず、
洋紙には洋製本が主流になってきます。
産業革命も終わった頃なので、洋製本も手製本と機械製本の両方の技術が
伝わりましたが、
機械製本のみが広まりました。
 
そんなわけで日本の洋製本は機械製本として出発しました。
和紙ではなく洋紙を使い、印刷機を使う製本は合理的で、安く、流通に向いた
本ができるので和本は追いやられ、洋製本が主流となります。
 
本屋で売られている本は始まりからして、なるべく安く、たくさんの人の手に渡る
ようにという形を求めています。
最初は紙を束ねて折り、その折り目を機械で糸を使って綴じていましたが、その
手間も少しずつ縮小されます。
折り目をに切込みをいれそこに接着剤を流し込んで綴じるあじろ綴じという、
糸を使わない無線綴じ、折り目側をまとめて断裁して接着剤で固めてしまう
無線綴じなど生まれます。無線とは糸や針金という「線」を使わないといった
意味をもちます。
文庫や新書のほぼすべて、そして児童書をのぞく多くの本が無線綴じで作られて
います。
無線綴じのメリットはコストがかからないこと。デメリットは壊れやすいこと。
最近はばらばらになりにくい新しい接着剤が開発されたので、デメリットの面が
小さくなり、ますます無線綴じへと移行していくようです。
 
2
 
 
本のつくりには、その本ができた時代や社会が反映します。
ヨーロッパ中世の豪華本の裏にはキリスト教の権力、王族貴族の権力が、
そして現代の無線綴じの裏には社会のスピード感、執着のなさのようなものが
あらわれているような気がしてなりません。
もちろん、いい、悪いの問題ではないので、ふと立ち止まって、本屋さんで手に
取った本をじっくりみて、本そのものについて思いをはせていただけたらいいなと
思います。
 
ちなみに写真はパッセカルトン(綴じつけ製本)で製作した作品です。採算の取れる
ものではないし、本屋さんで売るわけにはいかないけれど、これはこれで、とても
いいものだと思っています。
 
それでは、本とともに、よい年末をお過ごしくださいませ。
来年もお付き合いいただけましたら嬉しいです。
 
                          内田由紀子

author:信愛書店 en=gawa, 10:25
-,
豆書林ブログ ♯15 〜本日通常営業16:00までです
 


本日はカフェにてイベントがあるため

通常営業は16:00までとなります。







豆書林ブログ ♯15
 
お久しぶりです。
久々の豆書林ブログ。
11月末の製本ワークショップと、イギリスの製本コンペティションの作品作り
などに追われおわれて、はや師走も後半。
皆様お風邪などめされてはないでしょうか?
 
私が講師をしている池袋のコミュニティ・カレッジのルリユール工房には、
製本の入門コースというのがあります。
1年間40回のレッスンで、厚表紙と
薄表紙の布装角背ノート、布装角背の本、布装丸背の本、半革装丸背の本と
いろいろなタイプのくるみ製本を学びます。紙の扱い方や、カッターの使い方
などの基本からスタートするので、入門、といってもかなり本格的でちょっぴり
大変ですが、大変なだけあってひと通りのことができるよう になるおすすめ
コースではあります。
 
そんな入門コースでは、短期間で仕上げるために、製本する本は教室で
用意してあります。半革装の本は無線とじの本をを和紙でつないで折丁に
して製本しますが、とっても大変なので布装角背、布装丸背の
2冊は糸綴じの
のをばらして使います。
それが先月、いつも使っていた糸綴じの本をばらしてみたら、なんと糸がない‥。
無線綴じに変っていました。
これはかなりショックでした。
 
本屋に並ぶ本(児童書・絵本をのぞく)の多くは糸を使わない、のりでかためた
無線綴じであることは知っていましたが、大きな出版社の何年も前から続いて
いるシリーズでしたし大丈夫だろうと思っていたんです。
 
後日、講師の一人が事情を聞いたところ、数年前から無線綴じ用の新しい
のりが開発されたことが原因でした
一昔前まで、重い本や、コート紙などつるつるした本を糸を使わずに製本すると
数回開いただけでばらばらになってしまうのが普通でした。しかし、その新しい
のりを使えばつるつる紙の本もしっかり接着して、なおかつ柔軟性があるので
壊れにくいらしいのです。これから数年で糸綴じはどんどん少なくなっていって
し まうだろう、との話でした。
のりの改良や無線綴じがよくないという気はさらさらありません。無線綴じが
なければ文庫や新書、マンガも今の値段にはなってないだろうと思うのです。
でも、それでもやっぱり、糸綴じであってほしいものはあるんです。美しい紙に、
細かいところまで気を配った版組みの、重厚なデザインの本が無線綴じ‥。
がっかりよりも、びっくりします。なんだかなーっていう気分です。ぱっと見は
とってもきれいなのに、開きにくい本はなんだか欠陥住宅のような悲しさが
ありま す。
もちろん、糸綴じだから開きやすい、というわけでもありません。背の構造や
表紙などが原因で開きにくかったり、変なところに力がかかって壊れやすい本も
いっぱいあります。糸綴じなのにたっぷりのりもはいっていて、開きにくい本も
ありますし‥。
開きやすくて、丈夫な本。
いい本の第一条件はやっぱりここだと思います。
 

 
手製本の主な仕事は、依頼者の大切な本を仕立て直すこと。その過程で修理も
しますが、基本は本をばらして、今度は開きやすくて壊れにくい美しい製本構造を
もたせることに主眼をおきます。
無線綴じの場合、和紙でページをつなげて折丁にするのがまず第一条件で、
これがほんとに手間がかかるんです。そしてそんな本がこれからもっと増えて
いくのかと思うと、なんだかちょっと悲しくなってきます。
消費物としての本の存在もあるべきだけど、せめて100年くらい付き合える本を
つくっていってもらえたらなあ、と切に願います。
ちなみに今回の写真の本は村上春樹の「カンガルー日和」。もう古本屋さんでしか
手に入らないけれど、糸綴じで版組みもゆったり美しく、製本しやすい素敵な
本でした。
 
今回はほぼ愚痴でしたが、次回は無線綴じにいたるまでの機械製本(手製本と
区別して、機械でつくる本のこと。まあ、本屋さんの本はほぼ機械製本なんですが)
について簡単にお話します。
糸綴じ?無線綴じ?とはてなマークが浮かばれた方は来週をお楽しみに。。
 
                           内田由紀子

 

author:信愛書店 en=gawa, 11:01
-,
出版娘の日常 第 4 回
出版娘ぎんこさん、いよいよ一歩踏み出しました。
書くこと、つくること、ペン一本でどんなことができるか
いっしょに楽しんでいただければ、とおもいます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


出版娘の日常 第 4 回


ミニコミ、作りました。

にゃ1


実は、会社に内緒で(いずれきっとバレると思うのでここに書いて
しまうわけですが)ミニコミ誌を作っています。
12月10日頃に発売予定です。

きっかけは、会社が刊行していた雑誌の休刊でした。
とっても大好きな雑誌でした。
その雑誌がきっかけで、私は今の会社に入りました。
かなり狭い範囲にウケる専門誌的な雑誌だったので、
そんなに拡販しなくてもいいや」
とタカをくくっていたのです。
このままずっと続くのだろう」と。
でも、長年の読者不足の末に休刊になってしまいました。
休刊になる、ということがたまらなく残念で、さらに自分の営業認識の
甘さをいたく反省しました。

自分で一から雑誌を作って、身銭を切って印刷して、汗みどろになって
営業してみよう。
そして続刊の難しさを肌で味わわなければならない。
そんな反省の気持ちが半分、純粋に「作ってみたい」という気持ちが半分。
懺悔と好奇心の塊は、今印刷所の中で誕生を待っています。


今回の編集作業では、本当にいろいろな方にお世話になりました。
高円寺書林さんからも多大なるお力添えをいただき、何度頭を
下げても感謝しきれないほどです。
でも、きっと私は生まれてから今まで、無数の人から「何度頭を
下げても感謝しきれないお力添え」をいただいてきたのです。
そのことにずっと気づくことができませんでした。
本を作り上げるという一連を通して、やっとそのことに気づいたのでした。

みなさん、ほんとうにほんとうに、ありがとうございます。

にゃ2


author:信愛書店 en=gawa, 11:29
-,
散歩の達人12月号&豆書林ブログ♯14 モロッコ その2
11月21日発売の『散歩の達人』12月号高円寺らいふMAP
紹介されました。

さんぽ

さんぽの

東京タワー50周年
大特集

おでかけかわら版
p66に
高円寺らいふMAP
紹介されています





   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
高円寺らいふMAPは散歩の達人編集長さまにご協力をいただいて完成しました。
高円寺の隅々にたのしいスポットがいっぱいです!!

高円寺文庫センターほか掲載店舗で無料配布中です!
町歩きのおともにぜひご利用ください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

豆書林ブログ♯14

 
モロッコでみつけたものをもう一つ紹介。
あまり他では見たことのなかったサボテンの糸です。

いと2
 



















モロッコでも、シルクの絨毯やスカーフがたくさん売られています。
ただし、ほとんどがモロカンシルク、すなわち「モロッコのシルク」と呼ばれる
サボテンの繊維。サボテンから作った糸があちらではシルクと呼ばれているので、
絹のシルクと思い込んで絨毯を買ってしまいクレームがくるとか。
たしかに艶や手触りはシルクにそっくりでした。
ただ一番違うのが、やっぱり値段。
モロッコのマラケシュで一番よいものを扱っている糸屋でも写真右の糸の束が、
日本円で1束10〜20円(染料の値段によって違います。革と同じで高いサフランで
染められたものはやっぱり高い)。
ちなみに写真左のかごに入っている糸玉のかたまりは、右のサボテンの糸をよって
ひもにして編んで作ったもの。ばらして飾りにしたり、ボタンにしたりします。
 
製品としてはスカーフを買ってみたのですが、一回水をくぐらすと、
柔らかくて、しゃりしゃりしていて暑いときにはなかなかよさそうな布でした。
何束か買ってきたので、製本に使えないかなーといろいろ試しています。
今はこの糸で花布を編んでいるので、またいつかご紹介できればと思ってます。
 
製本の作業では、いろんな糸を使います。
麻や絹を中心に、いろいろな作り方の、太さや色の違うものをたくさんそろえます。
下の写真はほんの一部。
作る本や、作業工程にあわせて選びます。

いと

 
話は変わって、今週末、末の妹の結婚式があります。
頼まれて、芳名帳と結婚誓約書のケースを作りました。
下の写真の一番下のもの。
これに縁にマーブル紙をはった名前入りのカードを表紙にはって出来上がり。
お店で売っているものは、ピンクやクリーム色のサテンだったり、やけに
豪華だったりいまいちなので、開きやすくて素朴な感じのものを作って
みました。
テープ綴じというかがり方をちょっとアレンジしたもので、簡単に作れるので、
素材を厳選してよいものを使ってみたら我ながらなかなかいい感じでした。


note

簡単にできて応用のきくものなので、ぜひご紹介できればと思い、
11月29日・30日に「麻のリボンで綴じるオリジナルノート」のワークショップを
やることになりました。
写真の上2つを作ります(中の紙や表紙、リボンの色や素材はいろいろ種類を
そろえますのでオリジナルの色あわせのものができます)
一折中綴じの羊毛紙のノートで手慣らしをしてからリネンのりぼんのテープ綴じに
挑戦する2時間半のワークショップです。

今回は高円寺書林さんではなく、
世田谷の巣巣という家具と雑貨のお店です。
 http://www.susu.co.jp/news/p500.html
 お申し込みは巣巣 のHPからお願いします。
2冊作って、プラス2冊分の材料とちょっとした道具、お菓子などがつくので、
よろしかったらぜひおでかけください。
 
また機会があれば高円寺書林さんでもワークショップを行いたいと思うので、
こんなものを作ってみたい!というものがあればリクエストくださいませ。
 
                       内田由紀子
                       http://reliure.petit.cc/
author:信愛書店 en=gawa, 02:41
-,
豆書林ブログ♯13
内田由紀子さんのコラム、今回はいよいよ皮革の本場、モロッコから。

タンネリの風とにおいが伝わってくるようなレポートをお届けいたします。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


豆書林ブログ♯13

ルリユール([reliure]フランス語で工芸製本の意)では表紙は革が一般的です。
革について学ぶため、革に関する工場にいろいろいってきましたが、今回は
モロッコの革なめし場を少しご紹介します。

スーク・ダッバーギーン(Souk Dabbaghin)、フランス語でタンネリ(Tanneries)
として世界中に知られるモロッコの革なめし・染色市場。
染色液の鮮やかさや、中世から変わらないとされる郷愁を誘うような景色で、
TV番組で幾度も紹介されてきました。私も2度ほどTVでみました。
私がルリユールを知るきっかけとなった栃折久美子さんの『モロッコ革の本』に
でてくるモロッコ革。ルリユール業界(?)で使われるモロッコ革とはただ単に
モロッコの革をさすのではなく、山羊革で、しぼが深く厚みのある最上級の革の
こと。
今は作っていないので流通はしていませんが(モロッコ風の革、という名前のやや
モロッコ革に似た仕上げの革はあります)、この革で本をつくると、持ったときに
手が喜ぶような、重厚ですばらしいものになるんです。
モロッコ革とモロッコの革は今は関係ないとは思いつつも、行く機会があったので
見に行ってみました。

1

北アフリカにあるモロッコ、フェズの世界遺産・旧市街(フェズ・エル・バリ)に
あるタンネリ。
近づくにつれ、銀杏のような匂いが強くなります。山羊のミルクのような獣の匂いと
銀杏の匂いが混ざったような、有機的な匂いでした。想像していたよりも匂いは強く
なく、嫌な匂いではなかったです。
日本の革工場地帯も独特の匂いがありますが、まったく違うものでした。なめしの
ときの薬剤や染料の違いが理由のようです。なめしとは、動物の皮はそのままだと
固くなったり腐ったりするので、脂やたんぱく質を取り除き、柔らかくするため
もう一度合成の脂を加える作業。たくさんの工程があって様々な薬剤が加えられ、
皮から革へ変化します。

タンネリにつくと、まわりを取り囲む革細工のお店を見学し、ミントの葉の束を
もらい屋上へ。
ミントの葉を鼻に近づけ匂いをかぎながら、革なめしの作業を見学します。
丸い染色桶が並び、様々な色の染色液に革をひたし、もむ職人さんがみえます。

2

屋上にずらっと干されているのがサフランで黄色に染めた山羊の革。
黄色がサフラン、茶色は杉の樹皮、赤はパプリカ‥など自然のものから色をとって
桶に入れ、染めていきます。
サフランはとても高価なので染めた革も高く、王様の色とも言われているそうです。

扱っている革は、高価なものから順に、らくだ、山羊、牛、羊。豚は食べないので
(モロッコはイスラム教の国)、豚の革はありません。
らくだの革は柔らかく、丈夫で見た目からは分からないのですが、らくだと羊の
バックは同じデザインで価格が何倍も違いました。
また羊革は一番匂いが強いため、お土産に買って帰ってもしばらく匂いが消えない
ようです。

3

中央は染色の樽、手前の白いもしゃっとしたものは羊毛のかたまり、中央上は石灰の
樽が並びます。
腐らないように塩漬けにした皮を、石灰の樽に1週間ほどつけて柔らかくして、余分な
毛をとり、染料の樽に入れて染めます。

ガイドの方によると革なめし・染色の仕事はとても大変なので、多くが貧しい
最下層の人たちだそうです。職人さんに息子ができると、勉強がよくできるなら他の
仕事につかせるけれど、そうでないときは自分の仕事を継がせるのが普通らしく、
大体が世襲制だそうです。ただ、この仕事についている人たちは貧しいけれども、
日本のように職業として差別がある、というわけではなさそうでした。直接話を
したわけではなく、現地のガイドさんから聞いただけなので実際どうなのかは
なんともいえないのですが。

空の青さとタンネリの鮮やかな染色液の色は、働いている人たちの動きも含めて、
本当に美しいものでした。
                            内田由紀子 http://reliure.petit.cc/

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


窓辺でサフランが咲きました。

sa


とおいとおい国からやってきた花、その黄色い花粉が革の染めに使われる
ということを知りました。
とても貴重で高価なものだとむかしからいわれてきましたが、なるほど
ひとつの花にはわずかな分量しかついていませんね。

それにまたこの花のなんとはかなげなようすでしょう。
ちなみに花言葉は

陽気、楽しみ
  ひかえめな美

花の少ないこの時期にそっと咲いてくれるサフランにだれもが同じ思いを
抱くのかもしれません。
author:信愛書店 en=gawa, 12:04
-,
豆書林ブログ  #12 道具編〜はさみ
ぐるっと地球を回って旅をしてこられた内田さん。
そのおみやげ話もこれから披露していただきたいですね!

うつくしいものがすき、作ることがすきなかたがよろこぶようなお話を
ぜひご期待ください。

今回はお道具編です。

    @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

                        
    豆書林ブログ ♯12

先週に引き続き、身近な道具の紹介をします。
今回は「はさみ」
よくあるものほど、じっくり選んで、手になじむものをみつけると、本当に
嬉しいものです。食べると体が喜ぶような料理ってありますよね。新鮮な素材を
使った、おいしい料理。よいはさみを使っていると、手が喜ぶのがわかります。
そんなはさみをみつけるのもやっぱり、一苦労。
足で探して、使ってみて、時間をかけて選びます。

はさみ

やはり用途によって、はさみは使い分けています。
上の写真の左から

ヘンケルのはさみ‥紙を切ったりなんだりいろいろ使えます。
CLOVERのはさみ‥細かいところ・硬いものを切るときに。
たとえば花布の芯など。
Adlerのはさみ‥紙・糸などで細かいところを切るときに。

どれも共通しているのが、刃の先が薄く、細いこと。
特に細かい作業をするのに、刃の繊細さは不可欠なのです。そうすると事務用・
工作用のはさみではものたりなくて、自然はさみ探しの旅がはじまります。
私の旅の結果は、製本教室の生徒さんにおすすめするのは刃物やさんで割と
ポピュラーな「SILK」というはさみ。これは1000円台で購入できます。
もうちょっと本格的なものをというなら私も使っていますが、日本橋三越向かいの
刃物やさんの木屋で購入できる「Adler」。こちらはちょっと高くて
5000円前後。
でも抜群につかいやすいです。
ただ刃の先が薄くて細いということは、いたみやすいし、切れにくくもなります。
取り扱いに注意するのと、研ぎにだしたりとメンテナンスが必要になってきます。
なので、まず「SILK」あたりはおすすめかもしれません。

ちなみにカッターは、普通のタイプで十分です。
下手にデザイン用、などを買ってしまうと、細かったり、刃の角度が急だったりして
使いづらいので、まずはオーソドックスなものを買いましょう。
ただ100円ショップなどの安いものは刃のホールドが甘く使いづらいので、
文具屋などに売ってるNTカッターやOLFAなどのちゃんとしたメーカーのものが
おすすめです。

                     内田由紀子

author:信愛書店 en=gawa, 12:32
-,
出版娘の日常 第3回 コロッケうどん食べたい
ベランダでは湿気をふくんだ風にくつしたがゆれています。

早くも冬の気配です。

出版娘の連載、温かくなる話題で登場。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


出版娘の日常 第3回 コロッケうどん食べたい


第2回で紹介した本のレイアウトは、1の「教科書タイプ」に決定。
著者も気に入ってくださったようで、ホッと一安心です。
本文がそろって、レイアウトの方向も決まれば、あとは装丁の問題をクリアすれば
ほぼ完成です。装丁について考える場合、判型・カバー・帯、それぞれについて
妥当な答えを出さなければなりません。
例えば判型。今回は英語の勉強法についての本です。実際の売場を見てみますと、
四六判もしくはB5判、手軽に持ち運ぶことの出来る薄い形が多いです。
次はカバー。これも売場に倣えば、ソフトカバーが圧倒的に多く、さらに表面に
テカリのある素材の紙(コート紙といいます)が大半です。色は勉強への意欲を
駆り立てるためか、赤やオレンジなど原色系が溢れています。
帯文は著名な方に書いていただくほうが、当然売れます。顔が売れている人なら
顔写真は絶対に入れたいものです。

検討した結果、四六判、ソフトカバーでコート紙、カバーは原色系というところ
まではスムーズに決まりました。多数派を行って、とにかく「勉強法の本」っぽい
感じを出そうという意図です。あとは帯文ですが……なんとあの翻訳界の大御所、
超有名人に書いてもらおう! ということが決定しました。わあい!

めでたく交渉成立したら、報告します。


さて、本づくりも佳境に入ってきたので、事前注文(本屋さんによる予約注文)
を取るための営業にも、本腰を入れなくてはなりません。チラシを作って、
読者層が集まりそうな本屋さんに売り込みに行くのです。今回の本の読者は、

・英会話を勉強している。
・でも、なかなかうまくいかない。
・実生活に役立つ英語を身につけたい。

と思っている人達です。
大学生、外国人の多い地域、ビジネス街の本屋さんを中心にまわります。
きっと得意な人は稀かと思いますが、私も営業は苦手。
特に初めての本屋さんではとんでもなく緊張します。頭では「行かなきゃ!」と
思いながらも体が拒否して、事務所から動けないときがあります。そんなときは、
自分の鼻先にニンジンをぶら下げます。

「あじさい茶屋のコロッケうどん食べに行こう!」


men


何事かと思われるでしょうが、「あじさい茶屋」というのはJRの構内によくある
立ち食いそば屋さんです。「コロッケうどん」は、そこのメニュー。
B級の中のB級といった味ですが、私はこれが好きなんです。食べるには駅構内に
入らなければならないですから、そこまで来れば覚悟が決まるというもの。
無理矢理にでも足を動かすために、コロッケうどんは、今日も大活躍です。
いつもありがとう!


koro2






     ゆ
     げ
     ほ
     か
     ほ
     か
     ‖



author:信愛書店 en=gawa, 12:36
-,
豆書林ブログ ♯11 本をつくる道具について
製本にかんすること、なかでもお道具はたいせつなものです。
今回から紙に続いて道具類について解説をしていただきます。

身近な道具のへら、使いやすいようにかたちを整えたり油につけたりする
そういったコツなどを教えていただきます。


豆書林ブログ ♯11

先週は豆本フェスタに参加してきました。
きれいな仕上がりの本もたくさんあって、わくわくしながら手にとって
じっくりみてきました。製本の上手さ下手さもありますが、作り手がその本に
注いだ時間や愛情が伝わってきて、とっても幸せな気持ちになるイベントでした。
私のブースにもたくさんの方がいらっしゃってくださって、豆本や製本について
お話しすることができました。どうもありがとうございました。
最近、紅綴堂(べにとじどう)という名前で友人の製本家とホームページを
つくりはじめました。
http://reliure.petit.cc/

来年正式オープンの予定で、まだ全然充実してませんがよろしかったらいらして
ください。
製本の質問も受け付けますので、いつでもご連絡ください。

今回は道具について。
製本をやっていく上でかかせないのは、やっぱり本をつくる道具。
大きなプレスや、大きな断裁機などの大道具もさることながら、
実に100種類以上の小さな道具が活躍します。
ルリユールはヨーロッパに根付く伝統的な工芸なので、やはり道具は大体が
輸入物です。
私はフランス・ベルギーの流れをくむ製本を教わったので、やはりそちら中心に
探しています。
もちろん日本の道具でも代用のきくものはたくさんあるので、日々研究、と
いったところ。

今回紹介するのは、「へら」

紙にすじをいれたり、折ったり、角をおさえたりと、ほとんど手のように使う
一番身近な道具です。
へらは牛の骨からできたものを使います。
製本用へら、として製本工房リーブルや伊東屋(3番館のカルトナージュコーナー)
でも購入できます。
2000円前後です。ヨーロッパで買うと半額に近いかもしれません。
製本用へらは買ったままでは使えません。
自分の使いやすい形に、用途に合わせてやすりで削ります。
これぞ、という形に仕上げたら油絵に使う亜麻仁油(リンシードオイル)に
1週間ほどつけこむと、骨の弱い部分に油が入って、硬くつよいへらになります。
下の写真の左から買ったままの状態、形を整えている途中、油につけたあとの
へらです。

1


池袋コミュニティカレッジのルリユール工房の入門コースでは、製本用のへらを
作ってもらうのは初めての人にはちょっと大変なので、和裁用のへらで代用
しています。
代用、といってもけっこう使えます。下の写真は少し形を整えて油につけたもの。


2


これは手芸店をはじめ、ユザワヤ、東急ハンズ、ロフトなど手芸コーナーがある
ところにはだいたいおいてあるので手に入れやすいです。
プラスチック製と骨製と2種類あるので、買うなら骨製がおすすめ。
骨製なら使っているうちに使いやすい形がみえてくるので、それから削って、
油につけて硬くすることも可能ですし、何より使い心地がプラスチック製の
ものとは比べ物になりません。道具は気持ちよいのが一番です。
手になじむいい道具を使うと、びっくりするくらいきれいに仕上がります。
手の延長のようなものです。
へらの種類は本当にいろいろあるので私の持っているもののうち、少しだけ
ご紹介します。


3


左から
製本用のへら(ノーマルタイプ)
製本用のへら(細かいところ用)
製本用のへら(表紙貼り用))
製本用のへら(表紙貼りコワフ用)
ステンレスのへら
真鍮のへら(熱して使います)
テフロンのへら(摩擦が少ないのでこするのに便利)
水牛の角へら

などなどです。

次回は「はさみ」についてちょっとご紹介します。

 内田由紀子
author:信愛書店 en=gawa, 12:19
-,
「夏野菜の終わりと青トマトのジャム」&子猫のまちぞうカレンダー#4 蔦谷耕書堂
秋風が早足で駆け寄ってきました。

ベランダでは球根たちが落ちつかないようすでそっと芽をのぞかせています。

そんな季節の変わり目ですが蔦谷耕書堂さんにかかったらいまこそ収穫の
喜びを存分に味わうとき!

そして今回は緊急のお知らせ(ただ遅くなってしまっただけですが・・)
「子猫のまちぞうのカレンダーの写真募集」
詳しくは最下段にありますので、ぜひご応募ください!

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@



「夏野菜の終わりと青トマトのジャム」   蔦谷耕書堂


今年は、夏のはじめに水ぼうそうで寝込んだので、そのしわ寄せで仕事に
追われる真夏が過ぎ、気づけば秋真っ盛りの10月。本来なら夏野菜の後片付けを
して、土作りをし、冬に収穫できる野菜の種まきを終えていなければならない。
しかし当家では、まだ夏野菜の後片付けをしただけで、土作りに至っていない。

「夏野菜の後片付け」というのは私が勝手にしている表現なのだが、彼岸を
過ぎても気温が下がらないことの多い昨今、放っておくと夏野菜は、秋が
深まっても、枯れずにいつまでも生えている。そんなわけで、適当なところで
株を引っこ抜いて枝を切り、捨ててしまわねばならない(当家の場合は、
引っこ抜いて切った枝も、堆肥作りのコンポストに入れてしまう)。
しかしまだ元気に葉が茂っている植物を引っこ抜くのは、結構心苦しい。
ましてや、実がついていればなおさらだ。

suzunari



今年はミニトマトが豊作だった。100円の株を2つ買っただけで、300個近い
収穫があり、10月になっても、まだ青い実がたくさんついていた。しかし、
真夏にはあっと言う間に赤くなった実も、色づくのに何日もかかるようになる。
心苦しくとも、そろそろ引っこ抜くべき時期である。
私は植木鋏で、ミニトマトの株の根元を切った。ちょっとした灌木のように
なっていて、力いっぱいねじ切らねばならない。夏の日の光を受けて勢いよく
育つ植物が、その身に蓄えたエネルギーを感じる力強さである。
 そして、ベランダの屋根に届くほど伸びた枝を手繰り寄せ、支柱から外す。
枝のそこかしこには、まだ青い小さな実がたわわについている。ベランダ農地の
作物は、いつも内側からしか見ることができないから目に入らなかったのだが、
外側の枝に、思った以上に実が残っていた。

これ勿体ないなあ、と私は思い、その実を一つずつもぎ取ることにした。
大きな農地を耕していればこんな手間は掛けていられないが、ちまちました
ベランダ農地だから、そんな作業も、一人でしても5分もあれば終わる。
さて、そうして集まった、かごいっぱいの青いプチトマト。酸っぱくて苦みも
あるその実をどうやって食べるか。私は採る前からアイデアがあった。
これはジャムにしようと。
好みはあるが、私はそういう味が好きだ。柑橘類のママレードを作る時も、
一般的には皮を一回ゆでこぼして苦みを抑える下ごしらえをするが、私は苦いのが
好きなのでそのまま作る。苦みは、特に油脂の味と合う。バターを塗った
トーストやスコーンに載せると、絶妙なのである。

jam


そんなわけでこしらえた、青いプチトマトのジャム。その味はというと…………
もし興味があれば、ぜひご自分でお試しあれ。来年5月に苗を植え、真夏には
赤い実をゆっくり楽しんでからでも、10月には食べられるだろうから。

(2008.10.11)

蔦谷耕書堂さんからのおしらせ〜

  ●●●「みんなで作る子猫の町蔵カレンダー2009」●●●

豆本に登場している子猫のまちぞうのカレンダーの写真募集は、こちらです。
でも、これ投票締め切りが14日24時なので、あまり日がありませんでしたね、
すみません。
一応、カレンダーについてのお問い合わせメールアドレスは 
→machizo09@nifmail.jp 
です。
author:信愛書店 en=gawa, 12:02
-,